東京慈恵会医科大学 泌尿器科

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泌尿器科疾患について

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前立腺がん

1.前立腺がんとは

前立腺は男性のみにあり、栗のような大きさ・形をしている臓器で、精液の一部を分泌しています。膀胱の下にあり尿道を取り囲んでいて、肛門から指を挿入し診察(直腸診)することができます。この前立腺に発生する悪性腫瘍(がん)が前立腺がんです。
最近では、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が普及し、早期の前立腺がんが発見され、手術や放射線により治癒できる患者さんが増えつつあります。

2.診断

PSA検査で、異常を指摘された場合、直腸診や経直腸超音波検査などを行います。この検査では、前立腺がんの広がりを評価致します。しかし、これらの検査(PSA・直腸診・超音波検査)では前立腺がんの診断には至らないため、前立腺組織を採取する検査(前立腺生検)が必要となります。そして、採取された組織にがんが存在するかどうかを診断(病理組織診断)することとなります。

PSA 前立腺がんの診断・治療に使用される腫瘍マーカー。血液を採取して行う。
直腸診 肛門より指を挿入し、前立腺の形・大きさ・硬さなどを評価する。
経直腸超音波検査
(エコー)
肛門より専用の器械(超音波深子)を挿入し行う検査。
前立腺内部や周囲の情報を得ることができる。
前立腺生検 前立腺より組織を採取する検査。当科では10-22か所採取しています。

採取した組織検査では、がんの有無だけではなく、がんの悪性度(グリソンスコア)を評価します。

グリソンスコア:前立腺がんの悪性度を2から10の数値で表す。"6"以下ではおとなしい性質のがん、"7"は中くらい、"8-10"は悪性度が高いがんと考えます。この、グリソンスコアは治療法を決定するうえで重要となります。

前立腺がんが早期に発見された場合には、がんが前立腺の内部にとどまっていますが、進行した前立腺がんでは、前立腺の周囲臓器(精嚢や膀胱)への浸潤や、他の臓器(骨やリンパ節など)へ転移を認める場合があります。そのため、CTやMRI、骨シンチグラムといった検査を行い、浸潤(精嚢など)や転移(骨・リンパ節など)の有無を評価いたします。

3.治療

早期の前立腺がんであれば、年齢や身体的な条件はあるものの、多くの患者さんは以下のような様々な治療法を選ぶことが可能となります。しかし、前立腺がんが進行すると骨盤のリンパ節や全身の骨に転移し、この場合には全身的な効果が期待できるホルモン療法が中心となり治療法が限られてきます。

1) 手術療法(根治的前立腺全摘除術)

前立腺と精嚢を摘出し、尿道と膀胱をつなぐ方法です。手術の方法は大きく分けて2つ(開放手術・腹腔鏡手術)あります。下腹部を縦に約15cm切開する開放手術と下腹部に小さな穴を開けて空気を送り込み腹腔内を膨らませ、その中に挿入したカメラで得られる映像を見ながら特殊な道具を使いながら手術を進める腹腔鏡手術があります。それぞれに利点と欠点がありますが、治療法としてどの方法が優れているということは言えません。入院期間はどちらも約2週間以内です。
一般的な副作用として、尿失禁やインポテンスなどが挙げられますが、手技の進歩により副作用は以前より発生が少なくなっています。
また、摘出された前立腺がんを検査(病理組織検査)に提出し、前立腺がんの広がりなどを詳しく調べなおします。そして、その結果によって追加治療が必要かどうかの判断を行います。

2) 外部放射線治療

この治療は外部照射装置(リニアック)を用いて体外から毎日少しずつ放射線を前立腺に投与します。外部照射だけによる治療の全期間は7~8週間を要します。通院治療が可能で、副作用は下痢や便秘などの消化器症状が中心です。

3) 組織内照射治療(密封小線源挿入治療)

これは前立腺組織内に密封小線源(金属カプセルに入った低線量の放射性物質)を永久に留置して前立腺がんを治療する方法で、副作用が比較的少なく、治療効果が高いことから近年注目を浴びています. この治療は前立腺組織内に線源を留置するため直腸など周囲組織への放射線も限定されており, 治療も2-3日の短期入院で済むなどの利点があげられます。
治療に使われる小線源(シード)は0.8×4.5ミリのチタン製の金属カプセル内にヨウ素125という放射性物質が封入されており, 半減期は約60日と比較的長いものの, そのエネルギーは大変小さく体外への影響も極めて小さいなどの特徴を持っています. 一般的にお一人の治療に対し必要とされる線源数は70~100個程度です. 総線量は140~150Gyと高線量ですが, 外部照射の70~80Gyに相当し, これらの線量が半年程かけてゆっくり前立腺に投与されることになります。
実際の治療はまず刺入当日に浣腸を施行し, 直腸内をきれいにした後腰椎麻酔を行います. その後截石位を取り, 経直腸超音波を肛門より挿入した後、会陰部(陰嚢と肛門の間)から長い針を前立腺まで刺入し,コンピューターを用いて計画した適切な位置に線源を留置していきます. 治療時間は1~2時間ほどです。
この治療の副作用は頻尿と尿意切迫感が中心です。治療後はやはり他の治療法と同様に3ヶ月ごとにPSAを測定します。

密封小線源治療をムービーで詳しく解説
4) ホルモン療法(内分泌治療)

男性ホルモンを抑えることにより、前立腺がんの増殖・進行を抑制することが知られています。その方法として、除睾術(睾丸を摘出する手術)あるいは注射(LH-RHアナログ)が行われます。また、この治療のみでは不十分と考えられる場合、抗男性ホルモン剤を内服いたします。
一般的にこの治療は、転移のある前立腺がん患者や、手術療法や放射線療法後に再発を認めた患者さんに行われます。とくに進行した患者さんや比較的高齢の患者さんにとって身体的負担の少ない有用な治療と考えられています。ただし、3~5年以内にある割合でホルモン剤に対して抵抗性となることが知られており、このときはその後の治療法がますます限られてきます。副作用としてはインポテンス、女性化乳房および肝機能障害などが時に起きることがあります。治療は外来通院で行います。

5) 経過観察

男性ホルモンを抑えることにより、前立腺がんの増殖・進行を抑制することが知られています。その方法として、除睾術(睾丸を摘出する手術)あるいは注射(LH-RHアナログ)が行われます。また、この治療のみでは不十分と考えられる場合、抗男性ホルモン剤を内服いたします。
一般的にこの治療は、転移のある前立腺がん患者や、手術療法や放射線療法後に再発を認めた患者さんに行われます。とくに進行した患者さんや比較的高齢の患者さんにとって身体的負担の少ない有用な治療と考えられています。ただし、3~5年以内にある割合でホルモン剤に対して抵抗性となることが知られており、このときはその後の治療法がますます限られてきます。副作用としてはインポテンス、女性化乳房および肝機能障害などが時に起きることがあります。治療は外来通院で行います。

前立腺がんのリスク分類(D'Amico分類)
PSA(ng/ml) Gleason score 臨床病期
低リスク群 10未満 6以下 T2a以下
中間リスク群 10以上、20未満 7 T2b
高リスク群 20以上 8以上 T2c以上

4.去勢抵抗性前立腺がん

 ホルモン療法により、男性ホルモンの分泌が抑えられているにもかかわらずPSAが上昇したり、他臓器に転移したりする前立腺がんのことを去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と呼びます。CRPCは、専門的には「外科的去勢、薬物による去勢状態で、かつ血清テストステロンが50ng/dL未満であるにもかかわらず病勢の増悪、PSAの上昇をみた場合、抗アンドロゲン剤の投与の有無にかかわらず、CRPCとする」としています。
 治療としては内服薬の変更や、転移部位に対する放射線治療、化学療法などを行っていきます。近年この領域における治療の進歩はめまぐるしく、新しく使用できる薬も増えてきています。当院ではCRPCに対する新規薬剤や、化学療法の経験も豊富です。他院では治療が難しいといわれた方も当院では積極的に治療を行っています。ぜひご相談ください。

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